今から7~8年ほど前のこと――
僕より5~6歳ほど若いアメリカ人の男性から、
――今年のハロウィンで、きみは、どんな仮想をするつもりだい?
と訊かれ、
――ハロウィンはアメリカのお祭りでしょう。僕は何もしないよ。僕だけじゃなく、日本人のほとんどは、何もしないよ。
と答えたものです。
その頃は――
まさかハロウィンの慣習が、この国の社会に、こんなにも急速に定着するとは、思ってもみませんでした。
ハロウィンは、古代ヨーロッパ・ケルト人の収穫祭や悪霊払いを起源にもつとされ――
現代になって、アメリカの民間行事として定着しています。
ですから――
アメリカ人にとってのハロウィンは、日本人にとってのお盆に近いでしょう。
アメリカ人が8月の中旬に盆踊りの輪を作っていたら、さぞかし奇妙であるように――
日本人が10月末日に子どもたちの仮装行列を作っていたら、さぞかし奇妙であろう、と――
当時の僕は思ったものです。
が――
今や、その仮装行列が現実になっています。
日本の都市部を中心に、ハロウィン風の仮装をした人々が夜の街を練り歩く光景は――
すっかりおなじみになりました――もっとも、その仮装行列は子どもたちのものではなく、大人たちのものですが――
東京・渋谷の交差点では――
ハロウィンの仮装をした人々で今年も賑わったそうですね――悪のりが過ぎて警察沙汰になった人たちもいたようです。
仙台でも似たような雰囲気がありました。
昨夜、中心街を歩いていたら――
思い思いに仮装をした人々と、ひっきりなしにすれ違いました。
そんな街の様子をみていたら――
ふと感じました。
(ホントに定着したのかな)
と――
聞くところによると――
日本のハロウィンは、商戦の意味合いが特に強いようです。
日本の各種商社が1980年代からハロウィン需要の掘り起こしを企図し――
それが、ようやく2010年頃になって実を結び始めたのだとか――
ということは――
日本の商社がハロウィンで稼げるうちは定着しているのでしょうが、稼げなくなれば急速に廃れるのでしょう。
さて――
この先、どうなりますことやら……。
鍵は、
――女性の食欲と男性の性欲
なのだそうで――
この2つを確実に押さえて今も定着し続けているのが――
クリスマスやバレンタイン・デイだそうです。
(たしかに……)
と思います。
(えげつないな)
とも思いますが――