マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

朝鮮半島が南北に分断されている現状は――

 朝鮮半島が南北に分断されている現状は、やはり、

 ――災厄

 としかいいようがないと、僕は思います。

 1日も早く分断が解消されればよいと思っています。

 

 が、簡単にはいかないでしょう。

 なぜか――

 

 他の国家の利害が複雑に絡み合っているからです。

 その結果、朝鮮半島の分断の状況が固定化されています。

 具体的には、アメリカ、日本、ロシア、中国の利害です。

 

 多くの識者が、ほぼ共通して指摘するところは、

 ――朝鮮半島の分断は、アメリカ・日本 対 ロシア・中国の代理戦争である。

 というものです。

  冷戦時代の東西対決の構図が、朝鮮半島に縮図を構成した、という見方です。

 いわゆる西側諸国のリーダーとしてアメリカがあり、そのフォローワーとして日本や韓国がある――

 いわゆる東側諸国のリーダーとしてロシア(旧ソビエト連邦)があり、そのフォローワーとして中国や北朝鮮がある――

 

 いささか物事を簡略に捉えすぎていますが――

 要するに、

 ――20世紀の冷戦を引きずっているのが今日の朝鮮半島である。

 ということです。

 

 おそらく、ほとんどの人々は、朝鮮半島の分断の状況を、

 ――不幸なことだ。

 と思っているでしょう。

 アメリカ人もロシア人も中国人も、そして、日本人も――これら国家の国民の多くは――少なくとも個人としては――朝鮮半島の分断の解消を心から望んでいると、僕は思っています。

 が、それは、あくまで“個人として”であって、国家としては、少し違っています。

 

 そもそも――

 分断の解消の望ましい仕方が、アメリカや日本とロシアや中国とでは、ずいぶん違っているのです。

 

 これまで、アメリカ人や日本人の多くは、韓国(朝鮮半島南部)が主導する分断の解消を望んできました。

  一方、ロシア人や中国人の多くは、北朝鮮朝鮮半島北部)が主導する分断の解消を望んできました。

 アメリカや日本にとって、韓国の主導する分断の解消こそが国益とみなされ、北朝鮮の主導する分断の解消が起こるくらいなら、分断の継続が望ましい――

 ロシアや中国にとっては、北朝鮮の主導する分断の解消こそが国益とみなされ、韓国の主導する分断の解消が起こるくらいなら、分断の継続が望ましい―― 

 ここに、朝鮮半島の分断の固定化された理由があります。

 

 が―― 

 昨今、情勢は大きく動きました。

 

 韓国のムン・ジェイン政権は、北朝鮮に主導権を預けての分断の解消を狙っているかのような動きをみせています。

 ロシアや中国にとっては歓迎できる話ですが、アメリカや日本にとっては頭の痛い話です。

 

 どこまでムン・ジェイン政権が本気なのかは、専門家でない僕には、想像もつきません。

 仮に、ものすごく本気だとしたら、

 (いいんじゃない、分断を解消させてあげれば……)

 と思います――少なくとも、個人としては――

 

 が、日本の国益を考えたら、

 (そうもいってられないな)

 と思います――少なくとも、僕が仮に日本国政府の関係者であれば、

 (とんでもない!)

 と思うはずです。

 

 以上は、日本人の心情ないし日本の立場(の1つ)です。

 当然ながら、アメリカ人にはアメリカ人の心情があり、アメリカにはアメリカの立場があるでしょう。

 また、ロシア人にはロシア人の心情が、中国人には中国人の心情が――ロシアにはロシアの立場が、中国には中国の立場が――それぞれ、あります。

 

 朝鮮半島の分断は、まことに不幸な状況なのですが――その状況は、このように複雑に絡み合っているものですから――これを終わらせるのは、まったくもって容易ではないのです。