婚活や恋愛の局面で、
――ハイスペック
という言葉が使われるようになって――
かなりの年数が経ちますね――10年くらいでしょうか。
例えば、
――ハイスペックな女性は必ずしもハイスペックな男性に惹かれるわけではない。
というように使われます。
この場合の「ハイスペック」とは、
――高学歴・高キャリア
という意味でして――
簡単にいうと、権威のある大学等を卒業し、有能な組織で職を得ていることを指します。
英語の「high spec」に由来し、もともとはコンピュータなどの電子機器が高性能であることを指す言葉でした。
「spec」は「specification」の省略形で、「仕様」とか「性能」とかいった意味であったものが――
転じて、人物の経歴や能力を評価する際にも使われるようになりました。
が――
僕は、この「ハイスペック」という言葉の使われ方に――
けっこう強い違和感を覚えています。
根本にあるのは、
(人を評価する際に、電子機器を評価する言葉なんか使っていいのか)
という疑念です。
きわめて素朴な疑念ですね。
きょうも――
ネットでコラムを読んでいたら、
――ハイスペック美女
なる言葉に出会いました。
(なんだよ、これ――)
と、思わず苦笑してしまいました。
(まるでアンドロイドみたいじゃないか)
と――
そこまで考えた時点で――
(ちょっと待てよ)
……
……
(美女の外見を備えた高性能のアンドロイド? 悪くないな……)
……
……
少なくともSF的な文脈では――
「ハイスペック美女」は、まことに結構な言葉だと思い直しました(笑