フィギュア・スケートのテレビ中継をみていて――
あらためて感じたことですが――
人の体の艶めかしさは――
体の線が見えているかどうかにかかっています。
衣装のデザインによって、体の線が明示されたり暗示されたりしていると――
フィギュア・スケートの競技という、基本的には艶めかしさが必要とされていない場であっても――
しぜん艶めかしさは漂っていきます。
が――
体の線が明示も暗示もされていなくて――
部分的に隠されている――あるいは、別の線が付け加えられたりしている――と――
艶めかしさは掻き消されます
フィギュア・スケートの衣装の多くは、体の線を明示したり暗示したりしていると思うのですが――
中には、体の線を部分的に隠したり、別の線を付け加えたりしているものがあります。
そういう衣装の選手は、(良い意味で)ぜんぜん艶めかしくないのですね。
(面白いな~)
と思って――
なおも、何となくテレビ中継を見ていますと――
ふと気づいたことがありました。
(着物の帯は、別の線を付け加えているな)
ということでした。
それまでは、日本の着物の帯は、
――ウエスト・ラインを隠しているもの
と、僕はみなしていたのですが――
たぶん、違いますね。
隠しているだけではなくて――
完全に別の線を付け加えている――
僕は――
多くの国の伝統衣装は、艶めかしさを掻き消す方向でデザインされている――
と思っています。
当然、日本の着物も、そのようにデザインされていると思っていましたが――
その原理を突き詰めて考えたことはありませんでした。