――男は信用できない。
と、女はいい、
――女は信用ならない。
と、男はいう――
これらの言だけを見聞きしていると――
うっかり、
――異性は信じるものではない。
との結論に達しかねませんが――
実際には、
――信じられる異性がいれば、信じられない異性もいる。
というのが真実でしょう。
「男は信用できない」という女であっても――
女の中にも信じられない女はいる、ということはわかっていて――
「女は信用ならない」という男であっても――
男の中にも信じられない男はいる、ということはわかっているものです。
それでも、つい「男は信用できない」とか「女は信用ならない」とかと思い込んでしまうのは――
女にとっても男にとっても、信用していた異性に裏切られることは、信用していた同性に裏切られることよりも、はるかに衝撃的であるからでしょう。
人の記憶は、衝撃的であればあるほどに、あとあとまで残りやすいものです。