マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

綺麗な円弧の虹の背景が暗く重そうな曇天である、というようなこと

 きょうの仙台は――
 晴天と曇天とが交互に繰り返し、時に天気雨がパラついて――
 けっこう不安定な空模様でした。

 買い物がてら――
 晴天と曇天とが、まだら状に入り混じった上空を見あげると――

 どんよりと立ち込めた灰色の雲の手前に――
 完全な虹が、かかっていました。

 なぜ、

 ――完全

 といえたのか――

 その虹は、上空に綺麗な円弧を描いていて――
 根元から根元までが目で追えたのですね。

(へえ~。こんなことって、あるんだな)
 と感じ入りながらも――

(あの虹の背景が、曇天ではなく、晴天だった良かったのに……)
 などと思い――

 すぐに、
(いやいや――)
 と、思い直しました。

 綺麗な円弧の虹の背景が抜けるような晴天でありうるのは――
 たぶん虚構の世界の中だけです。

 現実の世界では――
 何かが完全だと、何かは必ず不完全である――

 もし、すべてが完全であることを求めるのなら――
 人は、虚構の世界に引きこもるしかない――

 現実の世界の中で、現実と向き合いたいのなら――
 人は、何らかの不完全を受け入れるしかない――

 例えば――
 綺麗な円弧の虹の背景が暗く重そうな曇天である、というようなことを――

 それが――
 現実との唯一の向き合い方であろうと思います。