「人間」という存在は、
“心”
と、
“体”
とから成り立っている、と――
多くの人たちが考えています。
少なくとも僕らの日常の感覚に照らす限り――
人間は“心”だけから成り立っているとはいえず、また、“体”だけから成り立っているともいえません。
が――
少々学問的な考察を加えると――
実際には、
――“体”だけから成り立っている
というべきなのですよね。
“体”の一部――おそらくは脳を中心とする神経系の全部――が、人間の“心”を生み出しているとの見解は――
科学的にも医学的にも、それなりに強固です。
要するに、
――“心”は“体”から派生していると考えられる。
ということです。
いいかえるなら、
――“心”と“体”とは、対等な関係ではない。
と――
むしろ、
――“心”は“体”に従属している。
と――
「従属」の表現がキツければ、
――随伴
でもよいと思います。
が――
……
……
にもかかわらず――
僕らの日常の感覚に照らす限り――
“心”と“体”とは、まったく対等のように感じられる――
だから――
不思議なのですよね。
むしろ――
“体”が“心”に従属ないし随伴しているようにさえ、感じられる――
この点にこそ――
人間の“心”と“体”との問題の総てが集約されているといっても過言ではありません。