実現が困難な大きい夢よりも、実現が容易な小さい夢をもつほうが大切だ、と――
僕は思っていました。
なぜならば――
実現が困難な大きい夢は――
その実現が困難であるがゆえに、どうしても夢を語ることに集中してしまいがちだからです。
夢を叶えず、ただ語ってばかりいると――
しだいに日々の生活を夢見心地で送ることになり――
現実から逃避しやすくなります。
それよりは――
実現が容易な小さい夢を一つひとつ確実に叶えていき――
しっかりと現実に向き合って生きていくことが大切ではないか――
そう思って――
僕は、
――大きな夢よりも小さな夢を――
と、ずっと訴えてきたのですが――
……
……
ちょっと間違っていたかもしれません。
(小さな夢ばかり叶えていたのでは、一度しかない人生の方向性を見誤ってしまうかもしれない)
そう――
今の僕は考えています。
夢が、「人生」という暗闇を照らす灯(あか)りだとすれば――
小さな夢は、照らす範囲が狭く――
大きな夢は、照らす範囲が広い――
そう考えるのが、よいのではないか、と――
思うようになったのです。
要するに――
小さな夢も大きな夢も、どちらも大切ではないか――
ということですね。
人生の岐路で迷った時には――
小さな夢で足元をしっかりと照らしながら、大きな夢で行く先をしっかりと照らす必要がある、と――
*
きのう――
タレントで俳優の前田健さんが亡くなったそうですね。
44歳の若さでした。
報道によると――
亡くなる直前に、ネット上で、
――人は小さな夢と大きな夢との両方をもつとよい。
といった意味の言葉を遺されたそうです。
そのご真意は――
たぶん僕には思いもよらぬものなのでしょうが――
(たしかに、そうだよな)
と思わせる説得力が感じとれました。