マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

有能な指導者は存在感が希薄

 実力が今一つの組織を託された指導者は――
 どうするのがよいのか――

 これは――
 なかなかに興味深い問題です。

     *

 真に有能な指導者とは――
 組織の機能をありのままに発揮させる指導者であり、実力以上の機能を発揮させる指導者ではない――
 ということを――
 きのうの『道草日記』で述べました。

 よって――
 真に有能な指導者は、実力が今一つの組織を託されると――
 その組織の今一つの機能に、しばらくは満足をし、達観をします。

 ――これが、うちの今の実力なんだから、仕方がない。

 と――

 真に有能な指導者は――
 いさぎよく諦めるのですね。

 が――
 真に有能な指導者は――
 それだけでは終わりません。

 実力が今一つの組織の機能を、とりあえず十分に発揮させたあとは――
 その組織の実力を向上させるように図ります。

 すなわち――
 指揮系統を整え、個々の人員の力量を高め、皆に自信を与え、内部の連携が密にとれるようにする――

 そのようにして――
 組織の実力を向上させ、その改善された機能が自律的に発揮されるように仕向けていく――

 真に有能な指導者は――
 組織を、これみよがしに叱咤したり、統率したりはしません。

 組織が実力を蓄え、その実力をいかんなく示していく様子を――
 少し離れたところから、じっと黙ってみている――

 真に有能な指導者というのは――
 組織内での存在感が希薄なのです。

     *

 何年か前――
 2010年のサッカー・ワールドカップで日本代表の監督を務められ、日本代表をベスト16に導いた岡田武史さんは――
 TVカメラの前で――
 理想的なサッカー監督の姿について、次のような主旨のことを述べていらっしゃいました。

 ――チームが練習をしている時に、グラウンドにいるんだかいないんだか、わからないような監督

(そうだよな)
 と思いました。