マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

空気をよむ時、人は何をよんでいるのか

 ――空気をよむ。

 といいますね。
 大まかには、

 ――その場の状況を察しようとする。

 くらいの意味です。

 より厳密には、

 ――その場に居合わせた人たちが何となく共有している気分を感じとることで、その場の状況を察し、自分は今、何をするべきか、あるいは、何をするべきでないかを判断しようとする。

 といった意味になるでしょうか。

 もちろん、「空気をよむ」といっても――
 本当に“空気”をよんでいるのではなくて――

   “その場に居合わせた人たちが何となく共有している気分”

 をよんでいるのですね。

 いわば、

 ――人々の最大公約数的な気分

 をよんでいるのです。

 気分は――
 感情の要素の一つです。

 意欲や思考、知覚といった心の働きの全般に強い影響を及ぼします。

 このことは――
 人は、気分が良い時と悪い時とで、意欲が高まったり低まったりするだけではなく、考えることや感じとることにも違いが生じる――
 ということを意味しています。

 よって――
 空気をよむ時――
 人は、複数の心の働きの関連性をよんでいることになります。

 一般に――
 自分の心の働きはともかく――
 他者の心の働きなど、そう簡単にはわかりません。

 まして――
 それが幾つか集まった場合の相互の関連性など、もっとわからない――

 空気をよむ時――
 人は――
 実は、とんでもないものをよんでいるのです。