マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

浮気には「感情の水かけ論」

 浮気をしたいかしたくないかは、感情の問題です。
 他方、浮気をするかしないかは、意志の問題です。

 この2つの問題を混同していると――
 浮気の問題の本態が、わからなくなってきます。

 よくみられる誤謬は、

 ――人は、意志さえしっかりしていれば、感情をいくらでもコントロールできる。

 という前提です。

 感情は、実際には、そんな甘いものではありません。

 ひとたび、

 ――どうしても浮気をしたい!

 と強く欲してしまった人に向かって――
 いくら、

 ――浮気はするものではない。

 と粘り強く説き続けたとしても――
 効果は限定的です。

 感情は、しばしば意志を生みだしたり、意志を跳ねつけたりします。
 ときには、意志をねじまげたりもする――

 人は、「浮気をしたい」と欲するから、「浮気をする」と決めるのであって――
 決して、その逆ではありません。

「浮気をしたい!」と欲してしまっている人に思いとどまってもらいたいなら、

 ――感情の水かけ論

 を挑むのが、おそらくは、もっとも効果的です。

 浮気の非倫理性や非道徳性を論理的に説くのではなくて――
 浮気への嫌悪感――すなわち、「浮気は許せない」という感情――を正面からぶつけることです。

「浮気をしたい」という感情と「浮気は許せない」という感情と――
 双方は決して交わることのない平行線です。

 それゆえに、「感情の水かけ論」という呼称が適切です。

 ただし――
 この「感情の水かけ論」には多大なるエネルギーを要します――精神的および肉体的なエネルギーです。

 ですから――
 よほど気力や体力が充実している時以外には――
 あまりお勧めできません。