世界が近い将来に終わりを迎える――
という設定の物語は珍しくないそうで――
例えば――
天体観測によって約1ヶ月後に小惑星が地球に衝突することが判明したというような状況を想定すれば――
けっこうリアリティのある終末の物語が意外と簡単に描けるのだそうです。
実際――
そのような終末は、少なくとも天文学的には、それなりの確率で起こりうるのだそうで――
一概に、
――荒唐無稽だ。
と切って捨てることはできないといいます。
そのようにして世界が終わるかもしれないことについては、人によって様々な受け止め方があるらしく――
その受け止め方の違いは、概して、今の格差社会の実態を浮き彫りにする――
という考え方があるそうです。
すなわち――
世界の終わりが近づくにつれて、慌て、焦り、あがき、もがくような人々は、いまの格差社会の勝ち組であり――
世界の終わりが近づいても、いつも通り淡々と落ち着いて過ごすような人々は、いまの格差社会の負け組である――
という考え方です。
この考え方に依ると――
世界の終わりの直前には、かなりドラマティックな逆転現象が起きるようですが――
そのような社会現象が想定されうるからこそ――
世界が終わりを迎える物語が少なからず描かれるのでしょうね。
ところで――
……
……
こうした考え方が、なんとも残酷に思えるのは――
僕だけでしょうか。
……
……
誰にとって残酷か――
……
……
全ての人々ですよ。
いま現に格差社会に生き、
――あなたは勝ち組だ。
とか、
――おまえは負け組だ。
とかと――
何かの基準で機械的に分類されうる全ての人々にとって――
残酷ではないかと思います。