歌を聴くと、僕は――
つい詞への思い入れを深くして、
(詞こそが歌の全てである)
などと信じ込んだりしていたものですが――
最近、
(別に、そんなことはないよな)
と、思うようになりまして――
「そんなことはない」とは、
――詞こそが歌の全てである、というわけではない。
という意味です。
歌は、詞と音楽との融合であって――
詞は、言葉から成り――
音楽は、リズムとメロディとハーモニーとから成るわけですが――
たとえ、詞が、どんなにありふれたものでも――
リズムやメロディやハーモニーが素晴らしければ――
それは――
まぎれもなく優れた歌なのであって――
いつまでも飽きのこない、何度でも繰り返し聴ける――そういう歌なのです。
*
先日――
車に乗ってラジオを聴いていたら――
昔のヒット・ナンバーが流れてきまして――
(いい歌だよな)
と感じ入っておりました。
その歌の詞は――
基本的には――
恋愛を成就した一人の男の「嬉しい」という気持ちが、ただ唄われているだけなのですが――
でも――
リズムやメロディが良いのですね。
他の歌では決して聴けないリズムであり、メロディなのです。
この歌を――
僕は、この10年間で2~3年おきに数回、車のラジオで聴いていて――
その度に、
(いい歌だよな)
と感じ入っております。
ときに勢い余って、
(さすが、「J-POP」以前のヒット・ナンバーだ。本物の良さがある)
などと、したり顔になっておったのですが――
その歌は、実は1990年代前半の歌であることを――
きのう知りました。
1990年代前半といえば――
ちょうど「J-POP」が広く認知され始めた時期です。
(本物の良さは、時代や流行からは完全に独立している)
ということを――
あらためて痛感しました。