マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

多数決の危険

 直前の世論調査で、

 ――残留派が優勢

 と聞いていたので――

 第一報に触れた時には、
(え? マジで?)
 と、ひさびさに本気で驚きましたよ。

 ……

 ……

 欧州連合からの離脱を問うイギリスの国民投票のことです。

 日本時間で、きょうの昼すぎに結果が判明しました。

 離脱派が僅差で残留派を上回り――
 イギリスの欧州連合からの離脱が決まりました。

 イギリス政府は、今後、欧州連合からの離脱を進める手続きに入るとみられています。

 ……

 ……

 僕が本気で驚いてしまったのは――
 半分くらいは不注意が原因です。

 直前の世論調査が示したことは、「残留派が優勢」ではなく、「わずかに残留派が優勢」でした。

「わずかに残留派が優勢」の「わずかに」を見落としていたのですね。

 つまり――
 世論調査が示した残留派と離脱派との差は誤差の範囲内であった可能性が高い――
 ということです。

“誤差の範囲内”ということは、

 ――最終的な投票結果は、どちらに転んでもおかしくはない。

 ということでした。

 そのことを僕は留意し損ねていたのです。

 それにしても――

 ……

 ……

 多数決というのは――
 こういう場合には、あきらかな危険をはらみますね。

 今回のイギリスの国民投票についていえば――
 投票の結果、離脱が決まったとはいえ――
 離脱派と残留派との差がごくわずかであることも同時に判明したわけです。

 つまり――
 イギリス国内のほぼ半分の人々が離脱に反対した――

 それなのに――
 イギリス政府は離脱に向けて舵を切っていく――切っていかざるをえない――

 これは、やはり不条理といってよいでしょう。

 多数決は、ある程度の差がつく時には、間違いなく効力を発揮します。

 が――
 ごくわずかな差では、無力です。

 むしろ、既存の争いを激しくしかねない――

 ある程度の差がつかない限り、多数決の結果には実効性をもたせないようにする、という配慮も――
 時には必要のような気がします。