本当に大切だと思うことは――
たとえ、どんなことがあっても――
決して言葉には出さないほうが、よいようです。
例えば――
*
「私は、あなたのことを信頼している」
と明言するときには――
その「あなた」への「私」の信頼は、揺らいでいます。
そして――
その「あなた」が「私」をどうみているのかといえば――
多くの場合、「あなた」は「私」への信頼を、とっくの昔に、失っているのです。
「あなた」による「私」への信頼がなくなっているからこそ――
「私」による「あなた」への信頼が、揺らぐのですね。
個人間の信頼関係というのは――
だいたいは、そういうものです。
信頼関係は――
その有無が言葉に出されないときにこそ――
盤石であり――
その有無が言葉に出されるときには――
すでに深刻に動揺しているのですね。
もしくは――
永遠に消失しているか――
……
……
悲しいことですが――
だいたいは、そういうものです。