マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

読みやすい文章の不思議

 文章が読みやすいかどうかということと――
 文章が丁寧かどうかということとは――
 基本的には、あまり関係がないようです。

 ――読みやすい

 というのは――
 読み手が、つかえることなく最後まで一気に読める――
 ということです。

 ――丁寧

 というのは――
 言葉の使い方が丁寧である――1つの概念に1つの言葉が当てられている――
 同じ文章の前後で互いに矛盾するようなことが書かれていない――
 ということです。

 つまり――
 言葉の使い方が雑であって、多くの矛盾を含んでいても――
 読みやすい文章にはなりうる――
 ということです。

 ……

 ……

 ちょっと不思議ですね。

 なぜ、そうなのか――

 ……

 ……

 おそらく――
 人の心の中が、わりとイイカゲンだからです。

 人は――
 心の中では、言葉の使い方は、まったく丁寧でない――1つの概念に2つ以上の言葉が頻繁に当てられている――
 心の中では、あちこちで互いに矛盾するようなことが繰り返し考えられている――

 心の中が、そのようにイイカゲンであるから――
 言葉の使い方が雑であって、多くの矛盾を含んでいても――
 読みやすい文章は読みやすい――

 読みやすい文章とは――
 そうした心の中のイイカゲンさに巧く適合している文章のことでしょう。

 あるいは――
 人が、心の中で、しぜんと求めたくなる言葉が、しぜんと求めたくなる順序で書き継がれている文章のことかもしれません。