――ノルマ
という言葉をきくと――
たいていの人は、嫌な印象をもつと思います。
僕もそうです。
このカタカナ語――
ロシア語で「規範」や「規定量」を意味する 「 Норма」という言葉に由来しているのだそうです。
太平洋戦争(大東亜戦争)の後――
ソビエト連邦軍の捕虜となってシベリアに抑留され、強制労働に従事させられた人々が伝えた言葉だといいます。
どうりで、嫌な印象をもつわけですね。
この「ノルマ」は、全員に等しく課されるものです。
よって――
当然ながら、
――下限のある目標
です。
が――
厄介なことに――
事実上は、そのようになっていないケースが多々あります。
日本語で「ノルマ」といえば、通常は、
――当然みたすべき業績目標
――強制的に課せられる業務量
くらいの意味であり、「下限」云々のニュアンスは、ほとんど含まれていません。
よって――
この言葉は、本来は下限のある目標に追われる仕事でのみ使われるべきなのに――
上限のない目標を追いかける仕事でも、しばしば使われます。
もったいないことです。
この「ノルマ」ほど――
上限のない目標の醍醐味を打ち消す言葉はないといってもよいくらいなのに――
……
……
「ノルマ」という概念を不適正に用いれば、かえって仕事の成果を少なくしうるということに――
僕らは、もっと敏感になったほうがよいでしょう。
「ノルマ」は、時に仕事をダメにするのです。