――人間と自然
といった言い方を――
学識のある西欧人は好むようですね。
きのうも――
何気なくテレビをみていたら――
それなりに学識のありそうな中年の西欧人男性が――
そんなふうに英語で述べていました。
(人間と自然とを対比させる必要はあるのか)
と――
僕は10代の頃から、懐疑的です。
人間も、大部分は自然ではないでしょうか。
少なくとも――
人間が病気をして、自分の体や心を思うように操れなくなったら――
その体や心は、もはや立派な“自然の一部”です。
裏を返すと――
自分の体や心をしっかりと操れてている感覚――
これだけが“自然の一部”ではないといえるでしょう。
重い病気をして――
自分の体や心をなかなか思うようには操れなくなって――
その現実を痛いほどに感じとって――
人間は死んでいきます。
自分の中の“非自然的な要素”が自然に飲み込まれるようにして――
人間は死んでいくのです。