お芝居で悪役を演じることは――
実に奥が深いようです。
……
……
僕は悪役が大好きで――
悪役を演じる役者さんには、特段の関心をもってきたのですが――
悪役というのは――
当たり前ですが――
悪人の役のことですよね。
その悪人には――
少なくとも2種類あるのだそうです。
1つは、自分を善人だと思っている悪人――
もう1つは、自分が悪人だとわかっている悪人――
……
……
おそらく――
現実世界の悪人の大半は――たぶん、その全員は――
自分のことを善人だと思っています。
よって――
自分を善人だと思っている悪人を演じる場合は――
人間心理の実態を忠実に模倣することが、大いに効果的です。
もちろん――
それには人間観察の鋭さが求められ――
同時に心理洞察の深みも求められます。
一方――
自分が悪人だとわかっている悪人というのは――
たぶん虚構世界にしか存在しないのですよね。
現実世界の人間は――
自分が悪人だとわかっていながら、悪人であることを続けるには――
常軌を逸した意志の強さが必要です。
自分が悪人だとわかったら、その事実に耐えられず――
すぐに悪人であることをやめてしまう――
よって――
自分が悪人だとわかっている悪人を演じる場合は――
現実世界の人間の心理をいくら追及しても――
ほとんど参考にはなりません。
その悪役に固有の心理というものを、自分で一から造りこまなければならない――
それは、非常に難しいことですが――
それゆえに、新奇の創造が生まれやすいということはあるでしょう。
ひょっとすると、まったく未知の心理を発見できるかもしれません。
ところで――
……
……
――自分が悪人だとわかっても、なお悪人であることをやめようとしない――やめられない。
というのは――
いったい、どんな心理なのでしょうね。
……
……
究極の被虐趣味ですかね。
もちろん――
悪人なのですから、被虐趣味だけであるはずはなく、
――加虐趣味(不特定多数を対象とする加虐趣味)
も併せもっているはずですが――
どうなのでしょう?
……
……
もう少し考えてみます(苦笑