マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

幸せの不等式

 幸せを、次の不等式で定量的に評価しよう、と――
 お考えの方がいるそうです。

  Happiness ≧ Events - Expectations

 世界的に有名な某インターネット関連企業の幹部職員の方です。

 なので――
 不等式は英語で表記されています。

 日本語に訳せば、

  幸せ ≧ 事象 - 期待

 ですね。
 英語表記と同様、韻を踏むとしたら、

  幸せ ≧ 事後状況 - 事前予測

 でしょうか。

 ……

 ……

 なかなかに面白い発想だとは思いましたが――

(ちょっと無理があるだろう)
 とも思いました。

 というのは――
 この不等式の「Expectations」(「期待」ないし「事前予測」)の項に負数を代入すれば、

 ――負のことを期待すれば、負の事象が起こっても、幸せである。

 という意味になるからです。

 このことは――
 ご本人も気にされているようで、

 ――「Expectations」の項には常に正数が代入される。

 といった主旨のことをおっしゃっています。
 すなわち、

 ――「人は常に正のことを期待するものである」を前提とする。

 ということでしょう。

 ……

 ……

 ちなみに――

 僕は、
(幸せは不等式では定量できない。不等式で定量できるのは不幸せだけだ)
 と思っています。

 すなわち、

  Unhappiness ≧ Expectations - Events

 です。

 日本語に訳せば、

  不幸せ ≧ 期待 - 事象

 あるいは、

  不幸せ ≧ 事前予測 - 事後状況

 です。

 両辺に -1 を乗じると、

  - Unhappiness ≦ Events - Expectations

 となって――
 冒頭の不等式と似たような不等式を得ます。

 日本語で表記すれば、

  - 不幸せ ≦ 事象 - 期待

 あるいは、

  - 不幸せ ≦ 事後状況 - 事前予測

 です。

 こちらの方が真理に近いように――
 僕には感じられます。

 ここで大切なことは、

 ――"- Unhappiness" is different from "Happiiness"(「-不幸せ」は「幸せ」とは異なる)

 ということです。

 では、「- 不幸せ」とは、どういった観念でしょうか。

 おそらく、

 ――無意識のうちに感じ、意識的には感じていない不幸せ

 です。

 もう少しわかりやすくいうと、

 ――自分自身に対して誤魔化している不幸せ

 あるいは、

 ――鈍感になっている不幸せ

 です。