良い質問をする能力とは――
とりもなおさず、文脈を的確に把握する能力です。
ここでいう「文脈」は――
きのうの『道草日記』で述べたのと同じ意味で――
すなわち、「時・場所・目的・経緯」を含めた拾い意味での「文脈」です。
もちろん――
良い質問をするには――
良い表現を選ぶ能力――明示的かつ具体的な表現で、かつ相手が聞き入れやすい表現を選ぶ能力――が必要ですが――
残念ながら――
それだけでは、相手の興味や関心を真に刺激することはできません。
相手の興味や関心を真に刺激するには――
相手に固有の文脈を的確に把握する必要があります。
相手は今、どのような文脈のもとで、自分の質問と向き合っているのか――
その文脈は――
相手の情報を十分に集めた上で、相手の心情に多角的な想像を巡らすことで――
把握できます。
が――
相手の興味や関心を真に刺激するには――
相手に固有の文脈を的確に把握するだけでも、不十分です。
実は――
自分に固有の文脈も、同様に、的確に把握する必要があります。
自分は今、どのような文脈のもとで、この質問を相手にしているのか――
その文脈は――
自分の記憶を十分に整えた上で、自分の心情に客観的な分析を施すことで――
把握できます。
相手に固有の文脈の上に、自分に固有の文脈を、うまく横切らせることができれば――
必ずや良い質問が生まれます。
今の相手に対し、今の自分にしか投げかけることのできない質問――
独自性が際立ち、かつ創造性の豊かな質問――
それが――
良い質問です。