マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

日本の老舗企業の挫折の遠因

 いわゆる会社では、

 ――経営陣は社員の上司ではない。

 と考えるのが、よいのではないでしょうか。

 上司でなければ、何なのか――

 ……

 ……

 ――契約相手である。

 と考えるのがよいと――
 僕は思っています。

 ここでいう「契約」とは、もちろん――
 労使契約のことです。

 ……

 ……

 いま――
 会社の階層を次のように想定しましょう。

   一般社員
   係長
   課長
   部長
   役員
   社長

 当たり前ですが――
 係長は一般社員の上司であり、課長は係長の上司であり、部長は課長の上司です。

 また――
 社長は役員の上司といってよいでしょう。

 が――
 役員は部長の上司ではありません――契約相手です。

 まったく同じ理屈で――
 社長や役員は、部長や課長や係長や一般社員の上司ではありません――契約相手です。

 社長や役員と部長や課長や係長や一般社員とでは――
 そもそも職業が違うのです。

 経営者の仕事と労働者の仕事とは――
 まったくの別次元です。

 ……

 ……

 以上の理屈は――

 僕がきくところによれば――

 いわゆる新興企業では――
 だいたい共有されているようですが――

 いわゆる老舗企業では――
 ほとんど共有されていません。

 役員は部長の上司であると、ふつうにみなされています。

 当然です。

 老舗企業では、部長が昇進して役員になる先例が、あまりにも多いからです。
 実際には、部長は“転職”して役員になっているにもかかわらず――

 ……

 ……

 昨今――
 日本の老舗企業の挫折が目立ちします。

 背景には経営判断の甘さがあるようです。

 その遠因は――
 どうも、この辺りに――すなわち、部長が昇進して役員になる先例に――あると思えてなりません。