マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

待ち合わせの相手が遅刻をしたときに

 人が怒るときは――
 たいていは、自分の思い通りにならないときですが――

 そうではなくて――

 自分が、どうしたらよいのかわからないときにも――
 人は怒りを覚えるようです。

 例えば――
 待ち合わせの相手が遅刻をしたときに――

 相手から、事前に、どれくらいの遅刻になりそうかの連絡があるだけで――
 怒りの感情は、ずいぶんと和らぎます。

 どれくらい余計に待てばよいのかが、わかるからです。

 自分が、どうしたらよいのかがわかれば――
 理性の力で怒りの感情を鎮めることは、そんなに難しくはありません。

 よって――
 このような怒りを――どうしたらよいのかがわからないがゆえの怒りを――抑える最も有効な方法は――

 そのような怒りを覚えそうになる前に――
 あらかじめ、自分がどうするかを決めてしまうことです。

 ……

 ……

 以前、

 ――待ち合わせに相手が遅れてきても、ぜんぜん腹は立たない。

 と断言をした人と話をしたことがあります。

 その人の腹を立てない秘訣は、

 ――待つ時間を先に決めておくから――

 というものです。

 例えば――
 30分、待っても相手が来なかったり、相手と連絡がとれなかったりすれば――
 その日は、「どういうわけか、ご縁がなかった」と思って、待ち合わせを諦める、と――
 ということです。

 もちろん――
 その“待つ時間”は、相手によって、30分だったり、10分だったり、1時間だったり、と――
 適度に調節をします。

 重要な相手には1時間――
 そうでもない相手には10分――
 というように――

 ……

 ……

(なるほど……)
 と思いました。

 が――

 この話にはオチがあって――

 相手が待ち合わせに現れず、また、相手と連絡も取れないうちに、所定の“待つ時間”が過ぎたので――
 そのまま待ち合わせ場所を離れたところ――

 なんと――
 自分が待ち合わせの日を間違えていたことが、あとでわかった――
 というものです。

 もし、この人が、あらかじめ“待つ時間”を決めていなければ――
 自分本位の一人相撲で散々に怒り狂ったあげく、待ち合わせの相手からは絶交をいいわたされていたかもしれませんでした。

 ――やっぱり、どんな時でも怒らないというのが、いちばん得をする。

 と――
 その人はいっていました。