マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

起業は治水工事のよう

 だいたい30歳になるくらいまでに――
 人は、世の中のカネの流れを理解するようになる――
 といいます。

 それを理解した後で――
 人は、だいたい2通りに分かれるそうです。

 一つは――
 既存のカネの流れに巧く分け入って、自分の懐へカネを引き込もうとする人たち――
 もう一つは――
 新規にカネの流れを自分で作り出して、自分の懐へカネを引き込もうとする人たち――
 です。

 おそらく――
 既存のカネの流れを掴むほうが――
 新規にカネの流れを生むよりも、失敗の確率は低く、カネもうけの効率は良いでしょう。

 が――
 既存のカネの流れを掴もうとするだけでは――
 新しいことは始められません。

 新しいことを始めなければ――
 世の中は変わりません。

 それにもかかわらず――

 そのカネもうけの額が巨大になると――
 つい人は、

 ――自分は何か新しいことを始めている。

 とか、

 ――自分は世の中を大きく変えつつある。

 と錯覚し――
 気持ちが大きくなって――
 無謀な方針を採用し、再起不能の損害を被ってしまう――

 短期間のうちに成功した起業家で、すぐに没落して巨額の負債を抱えるような人は――
 たいてい、そうした錯覚に陥った人だといいます。

 既存のカネの流れに寄生しているだけの起業家は――
 その流れが何かの拍子で変わったり絶えたりすると――
 もう手の打ちようがないのですね。

 世の中のカネの流れの激しさに翻弄されて――
 おしまいです。

 よって――
 起業で真に成功しようと思ったら、

 ――たとえ失敗の確率は高く、カネもうけの効率は悪くても、新規にカネの流れを作り出し、その流れを程よく保っていくしかない。既存のカネの流れに巧く分け入ろうとするだけでは、とても危険である。

 といいます。

 ……

 ……

 なんだか――

 治水工事のようですね。