完全に公平かつ公正で、中立的な発言は――
ぜんぜん面白くないものです。
例えば、
――男の子の赤ちゃんと女の子の赤ちゃんと、可愛いのはどちら?
と訊かれて、
――どちらも可愛い。
と答えるのは――
たぶん、完全に公平かつ公正で、中立的な発言の典型ですが――
そういう答えは、きいていて、まったく詰まらない――
そうではなく――
例えば、
――断然、男の子でしょう! だって……。
とか、
――誰が何といおうと、僕は女の子! 理由は……。
とかのほうが――
ずっと面白いわけです。
が――
そういう面白さを不用意に追求すると――
たいていは、不公平かつ不公正で、ときに挑発的な発言となってしまうのは自明です。
「可愛いのはどちら?」と訊かれて――
「断然、男の子でしょう!」といっても、「誰が何といおうと、僕は女の子!」といっても――
当然、少なからず角は立ちますよね。
では、どうするか――
やはり、答えないのが一番です。
――その問いには、公平かつ公正で、中立的な発言しかできないから、答える意義には乏しい。
ということを伝えることです。
が――
その伝え方はポイントです。
明示的に伝えたのでは、この上なく詰まらない答えとなります。
ですから――
暗示的に伝えます。
例えば、
――う~ん。それは、例えば、「男の子のお爺ちゃんと女の子のお婆ちゃんと、可愛いのはどちら?」っていうのと同じかな。
というように――
あるいは、
――それ、なかなかにコワい質問だよ。「男の子の赤ちゃんと女の子の赤ちゃんと、人間なのはどちら?」っていうのと同じだね。
でも、よいでしょう。