マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

“まさか”と思ったら

 ――人生には3つの坂がある。上り坂、下り坂、そして、“まさか”である。

 という話は――
 比較的、年配の人が、結婚式のスピーチなどに取り入れるものとして知られています。

 この話――
 僕は、修辞の観点からは、大変に気に入っているのですが――

 少々お説教くさい感じがするので――

 この話を人前でするのは――
 ちょっと避けた方がよいと思っています。

 それでも――
 あえてするのであれば――

 力点を間違えないことでしょう。

 力点は、もちろん、

 ――“まさか”

 に置きます。 

 ――“まさか”とは、どんな坂か。

 と問いかけるのが鍵です。

 ……

 ……

 現時点での僕の考えは、

 ――“まさか”は坂ではない。

 というものです。

 では、何かというと、

 ――断崖絶壁

 です。

 つまり、「坂」と呼ぶには、あまりにも急すぎる上り斜面ないし下り斜面ですね。

 ……

 ……

 断崖絶壁は、上り坂や下り坂と違って、先へは進めません。

 ですから――
 道を変えなければならない――

 この「道を変える」というのがポイントです。

 人が、“まさか”で採るべき対応とは――
 抜本的な方針変更です。

 こうした対応を採らずに、無理に突き進もうとすると――
 断崖絶壁を転がり落ちて、再起不能に陥るか――
 断崖絶壁を強引に上って跳ね返され、転がり落ちて、やはり再帰不能に陥るかの――
 いずれかです。

 ……

 ……

 よって――
 この“まさか”の話を人前でするときは、

 ――“まさか”と思ったら、道を変えましょう。

 というメッセージを――
 とりわけ若い人たちに向けてするのがよいと思います。

 若いうちから再起不能に陥っても構わないと思う人は――
 基本的には、誰もいないでしょうから――