――子どもの勉強は暗記だけで十分である。
という人が――
ときどきいます。
例えば、
――子どもは問題集を解く必要はない。いきなり答えをみて、答えを覚えればよい。それだけで学力は伸びる。問題集を自力で解く時間がもったいない。
というように――
さらには、
――こうした勉強法で、うちの子は超有名大学に合格した。
とか、
――そのような指導法で、私たちの学習塾は十分な進学実績をあげている。
とか――
……
……
たぶん本当のことなのだと思いますが――
そんな主張をしている人は――
重要なことを見落としているように思います。
それは、
――暗記だけで学力が十分に伸びる子どもは、思考の力を自前で培うことができている。
ということです。
思考の力は――
暗記の力と違って――
通常、10歳くらいから30歳くらいにかけ、その時々の指導者に感化されながら徐々に培われていきます。
が――
天賦の才に恵まれた人は、20歳になる前に、自前で思考の力を培ってしまうのですね。
そういう人なら――
たしかに暗記だけでも十分に学力を伸ばすことができるのです。
むしろ――
暗記は、一般に、大人よりも子どものほうが得意ですから――
子どものときは暗記に専念をしたほうが効率がよい――
ということになります。
――問題集を自力で解く時間がもったいない。
というのは――
たしかに、いわれのないことではないのですね。
が――
この「もったいない」は、
――ごく一握りの子どもに当てはまるにすぎない。
ということを――
僕らは見落とすわけにはいきません。
天賦の才に恵まれているわけではない多くの子どもたちは、「もったいない」とコボしたりせず、地道に問題集を解き続ける必要があるのです。