政治の本質は社会の利害調整にあるといえます。
社会全体の利益をどのように分配し――
社会全体の損害をどのように分散するか――
そうした諸課題の一つひとつに解決案を示していくのが――
政治家の務めです。
よって――
政治家は、
――無私
を愚直に貫くことが求められます。
社会の利害調整に臨むには――
自分だけが――
あるいは、自分たちだけが――
不当に利益を得ようとしたり、不当に損害を避けようとしたりしないでほしい――
との有権者からの要請です。
とはいえ――
現実には――
政治家が無私を貫くのは、容易ではありません。
自分自身や自分たち自身が――
得ようと思えば得られた利益をみすみす見逃し、避けようと思えば避けられた損害をみすみす被る――
そうした諦念を抱き、あるいは、覚悟を決めるには――
人として、やや不自然な達観を要します。
にもかかわらず――
このような達観を胸に秘めていなければ――
政治家は、いつか必ず不正のそしりを受けるのです。
この一点からみて――
政治家が聖職であることは紛れもない事実でしょう。
この聖職性に生真面目に向き合おうとする政治家は――
貴重です。
そして――
この聖職性を明確に認識している有権者も――
同じくらいに貴重です。