――どうも世の中が物騒になっている。
といわれ始めて――
数年が経ちます。
昭和前期に日中戦争から太平洋戦争(大東亜戦争)へ向かったときの世相に似ている――
ともいわれています。
たしかに――
そんな感じはありますが――
僕にいわせると、「物騒」というよりは、
――不機嫌
です。
どうも世の中が不機嫌になっている――
すなわち――
世の中の人々のうち、ささいなことで不機嫌になったり、わけもなく不機嫌になったりする人の割合が、増えている――
ということです。
昭和前期の世相も――
この“不機嫌”で説明がつくのではないか、と――
僕は考えています。
あの頃は――
世間一般だけでなく、政府や軍部の中枢部にも、不機嫌な人たちが多かったのではないでしょうか。
この“不機嫌”のために――
世の中が再び乱れるようなことはあるでしょう――
断じて、そうなって欲しくはないのですが――
……
……
こうした世の中の不機嫌は――
どうすれば――
治めることができるでしょうか。
……
……
きれいごとなら――
いくらでもいえます。
が――
実効性を真剣に考えるなら――
方策は限られてきます。
――不機嫌な人たちを一人ひとり孤立化させる。
これしかないだろう、と――
僕は思っています。
例えば――
不機嫌な人をみつけたら、なるべく関わらないようにする――
あるいは――
自分で自分が不機嫌だと気づいたら、なるべく人と関わらないようにする――
たしかに不機嫌ではなくなったと自分で思えるようになるまでは――
……
……
より大切にしたいのは――
前者ではなく――
後者です。
が――
前者も――
避けては通れないでしょう。