マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

自衛から他衛へ

 おそらくは自衛のために――
 人類史上、あらゆる国家間戦争が、起こってきた、と――
 考えられます。

 いかなる国家間戦争も自衛の名目でしかけられています。

 よって――
 国家間戦争をなくすには、

 ――自衛から他衛へ

 という発想の転換が有効ではないか、と――
 考えられます。

 ここでいう「他衛」とは、「自衛」すなわち、

 ――自分たちで自国を守ること

 に対して、

 ――他者に自国を守ってもらうこと

 です。

 もちろん、この「他者」は、すべての当事国にとっての“他者”でなくてはならず――

 そのような「他者」に該当しそうなのは、

 ――世界政府

 くらいしかありません。

 ……

 ……

 もし――
 世界政府が樹立されたなら――

 その下で――
 世界各国は、自国が侵略を受けそうになった場合には、自国の防衛を世界政府に求めることになるでしょう。

 つまり――
 世界政府が強大な実力(武力)をもって国際社会における警察権を行使していくのですね。

 こうした地球規模の政治制度の確立は――
 あらゆる国家間戦争をなくせるのなら、

 ――いともたやすいこと

 に感じられます。

 よって――
 早く試してみたらよいと思うのですが――

 今のところ――
 そんな気配はありません。

 いわゆる国連は、それらしい組織ではありますが――

 その最高ポストの呼称が「事務総長」であることに象徴されるように――
 実力に基づく独自の政務権限は何一つ付託されていません。

 国際社会における警察権などは――
 夢のまた夢です。

 ……

 ……

 以上で述べた現状は――
 世界政府の樹立を歓迎しない人たちが少なからず存在してきたことの証佐です。

 そういう人たちにとっては――
 自衛の名目で任意の国家間戦争をしかけられる現状が、好ましいのだと思います。

 例えば――
 世界各国の指導者層に限って意識調査をすれば――
 過半数の人たちが「世界政府はないほうが好ましい」と考えている事実を指摘できることでしょう。

 が――
 世界各国の指導者層に限らなければ――
 そのように考えている人たちは、びっくりするくらい少数に違いない――
 と思います。

 ……

 ……

 ふつうに考えれば――

 世界政府は――
 誰にとっても、

 ――ないよりは、あるほうがマシ

 となるはずです。

 ……

 ……

 少なくとも――

 僕は――
 そう信じております。