――いかなる争いも勝者は生まない。
などといわれますが――
ちょっと違うような気がしています。
――勝者は生まない。
ということは、
――敗者も生まない。
ということを示唆するように思えてならないのです。
よって、
――誰もが、勝者はもちろん、敗者にもならないのであれば、皆が納得のいくまで存分に争うのがよいではないか。
という理屈――たぶん、屁理屈――が主張されかねません。
――争いは、ときに創造を生む。
という発想ですね。
こうした発想を退けるためにも――
僕らは、気安く「いかなる争いも勝者は生まない」とは主張しないほうがよいでしょう。
おそらく――
こう主張するのがよいのです。
――いかなる争いも、利益はもたらさない。
と――
あるいは、
――いかなる争いも、損害しかもたらさない。
と――
あるいは、
――損害を補って余りある利益をもたらすような争いは、ありえない。
と――