マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

政権が選挙で争われる幸せ

 ――政権が選挙で争われる幸せ

 というものがあります。

 現代日本のように、曲がりなりにも民主主義の国で生活をしていると――
 つい忘れてしまいがちですが――

 人類史上――
 政権が選挙で争われることは――
 きわめて稀でした。

 たいていは――
 流血の闘争か密室の暗闘で争われてきました。

 もちろん――
 民衆の大半は、その過程をうかがい知ることができませんでした。

 選挙は――
 流血がなければ、密室もありません。

 あるのは――
 公開の場での演説の応酬や討論の舌戦です。

 民衆は、有権者として、政権の争いに関与できます。

 選挙で起こっていることは――
 単純に権力闘争に過ぎないのですが――

 人類史上――
 その権力闘争に巻き込まれて膨大な数の民衆が命を落としてきたことに思いが至れば、

 ――政権が選挙で争われる幸せ

 をかみしめないわけにはいきません。

 ……

 ……

 もちろん――

 選挙も争いである以上――

 きのうの『道草日記』で述べたように――
 しょせんは、損害しか生みません。

 多額の公的資金が消費され――
 一定期間、政治空白が生まれます。

 ――政権が選挙で争われる幸せ

 の実相は、

 ――流血がないだけまし――

 という幸せです。