マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

安倍総理の政治的遺産

 安倍総理が辞意を示されましたね。

 今夕、大きなニュースが飛び込んできました。

 

 突然の辞意表明でしたから――

 おそらくは、ご病気のためでしょう。

 

 安倍総理は持病に潰瘍性大腸炎があることを公にされていました。

 

 この潰瘍性大腸炎が急激に悪化をしたのだとすれば――

 唐突の辞任にも納得はいきます。

 

 前回の辞任(2007年9月)の際も、おそらくは同じ理由であったと思われますが――

 あの時は、国政選挙に負けたばかりで、

 ――持病の悪化

 を唯一の辞任理由として挙げられなかった状況があり、

 ――政権を放り出した。

 との厳しい声が数多く飛びました。

 

 今回は――

 そのようなことはないでしょう。

 

 各論では色々と厳しい声があるものの――

 総論では、

 ――お疲れ様でした。

 という労(ねぎら)いの声が過半を占めているように思います。

 

 今月に歴代最長政権を記録しました。

 

 ――それなのに政治的遺産(political legacy)がない。

 との手厳しい批判があります。

 

 たしかに――

 安倍政権が最長記録を更新するまで記録をもっていた佐藤栄作政権(1964~1972年)では、沖縄返還交渉の合意や非核三原則の確立などの画期的な“遺産”があります。

 

 それは、その通りですが――

 

 もう少し安倍総理に好意的な見方をするならば――

 安倍総理は、無形の政治的遺産を1つ残しました。

 

 それは、

 ――この国が国際社会で高い存在感を示しえた記憶

 です。

 

 国民は、安倍政権が続いた7年8か月の間――

 自国の政権の首班が、他国から――良い意味でも悪い意味でも――軽視や無視をされないという状況を経験しました。

 

 この状況を――

 今の10代、20代の人たちは当たり前と感じている節があります。

 

 この国の総理大臣は――

 しばしば猫の目のように人が変わりました。

 

 その結果、何が起こったか――

 

 ――国際社会における存在感の低下

 です。

 

 この国の人々は、自国の総理大臣が他国の要人から真の意味では相手にされていないことが明白な様子を、しばしば見せつけられてきました。

 それが国益を大きく損なわせてきたことも――

 

 ……

 

 ……

 

 安倍総理は、

 ――政権が長く続けば、それだけで、ある程度の国益は守れる。

 という当たり前の原理を明らかにしました。

 

 それは、紛れもなく、

 ――安倍総理の政治的遺産

 です。

 

 政権の首班は――

 国益の観点から――

 その座に長らくとどまれる力量の持ち主でなければならないのです。

 

 政局に強い政治家――政党選挙に強い党首――権力闘争に強い権力者――でなければならないのです。

 

 もちろん――

 それだけでは優れた政権の首班とはいえないのですが――

 

 それがなければ、話にならない――

 

 そのことを明確に示しえたことが、

 ――安倍総理の政治的遺産

 である、と――

 僕は感じます。