――判断基準は損得に基づくのがよいのか、それとも善悪に基づくのがよいのか。
という問いがあります。
答えは一概にはいえません。
損得に基づくほうが良い場合があれば――
善悪に基づくほうが良い場合もあります。
いつも損得だけで判断をしていたら、
――非道
の誹りを受けるでしょうし――
いつも善悪だけで判断をしていたら、
――愚鈍
の嘲りを受けるでしょう。
が――
以下の主張には、説得力があります。
――迷ったら、損得ではなく、善悪で判断するのがよい。
これは、「迷ったら」という条件節が本質です。
迷わなければ――
損得で判断をしてもよいし、善悪で判断をしてもよい――
が――
もし、迷ったら――
損得で判断をしてはダメだ――善悪で判断をせよ――
そういうことです。
理由は単純です。
――損得の判断は客観的で、周囲から足元をみられやすいのに対し、善悪の判断は主観的で、周囲から足元をみられにくいから――
です。
迷うような判断を迫られる厳しい局面では――
足元をみられないのが一番です。