――成就の喜びとは別に、改良の喜びというものがある。
と――
僕は思っています。
何事かを成し遂げる喜びというのは、もちろんあるのですが――
物事に一つひとつ修正を加え、よりよい状態に変えていく喜び――
というのも、あるのではないか、と――
……
……
――創業は易く、守成は難し。
といわれます。
中国・唐の太宗の廷臣への下問に基づくとされていますが――
我が国では、かの徳川家康が重く受け止めた言葉として知られます。
――新たに事業を起こすのは簡単で、それを勢いよく保っていくのが難しい。
という意味です。
まさに、その通りと思いますが――
僕は、この言葉――
成就より改良を好む者には当てはまらないと考えています。
――成就して終わってしまうよりは、いつまでも改良し続けて、少しでも完璧の高みに近づきたい。
そう願う者にとっては――
むしろ、
――創業は難く、守成は易し。
となります。
それでも――
統計的にみたら、「創業は易く、守成は難し」で間違いありません。
なぜならば――
成就より改良を好む者は、たぶん圧倒的に少数派であるからです。