マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

空欄補充型のテストの弊害

 4年後に始まる予定の大学入学共通テストについて――

 おととい――
 その問題の具体例が公表されました。

 色々と確認してみたのですが――

(よく考えたな~)
 と――
 思わず唸ってしまうような問題が目立ちしました。

 きのうの『道草日記』で――
 日本の学校教育が

 ――暗記偏重だ。

 と指摘されるのは――
 空欄補充型のテストが多用されてきたからだ――
 と述べました。

 おそらくは――
 採点の効率性や客観性が重視されてきた結果であろう、と――

 ……

 ……

 で――

 おととい公表された大学入学共通テストの問題をみてみますと――

 あいかわらず――
 空欄補充型のテスト(ないし、空欄補充型の発想が色濃く反映されたテスト)ではあるものの――

 それでも、

 ――もしかしたら、論理思考力や情報処理力をそれなりに評価できるかもしれない。

 と思わせるような問題が目につきました。

(よく考えたな~)
 というのは――
 そういうことです。

 が――

 あくまで、

 ――それなりに……。

 でありまして――

 ……

 ……

 おそらく――
 おととい公表された問題で評価できるのは、

 ――論理思考力や情報処理力の一部

 に過ぎません。

 自分で一から論理を組み立てたり、情報を集めたりする力は――
 あの問題では評価できないでしょう。

 やはり――
 弊害は、

 ――空欄補充型

 にあると思います。

 空欄補充型のテストは――
 一言でいえば、

 ――出題者が条件を幾重にも示し、それら全ての条件を満たす結論だけを答えさせる。

 というテストです。

 よって――
 必然的に――
 出題者が示す条件をいかに理解し、整理しうるかの能力をみているだけのテスト――
 になります。

 いうなれば――
 出題者の把握できる範囲で、論理思考力や情報処理力に欠陥がないかどうかをみているだけのテストです。

 このようなテストでは――
 出題者が把握できない範囲で、論理思考力や情報処理力を発揮しうるかどうかは、まったくわかりません。

 そして――

 以下が最も大事なことですが――

 ……

 ……

 出題者が把握できない範囲で論理思考力や情報処理力を発揮しているような生徒は――
 出題者の把握できる範囲に縛られる勉強が苦痛なのですね。

 ――なんで、こんな窮屈なことをやらなきゃいけない!

 と苛立ちます。

 ……

 ……

 空欄補充型のテストというのは――
 たとえ、どんな用意周到に工夫が施されたところで――
 少なくとも出題者の知的レベルを越えた生徒にとっては、

 ――たんに忍耐力を養成し、寛容性を醸成させるためだけのテストである。

 といっても――
 過言ではないのです。