白拍子として最も有名な人物は――
おそらくは静御前である――
という話を――
きのうの『道草日記』で述べました。
そして――
その静御前は――
一般に思われているよりも、はるかに気の強い女性ではなかったか、と――
……
……
気の強い女性と、そうではない女性と――
どちらが白拍子に向いているかといえば――
それは――
気の強い女性でしょう。
男装で人前に出て、歌や舞を披露するのですから――
かなり気が強くないと、なかなか巧くはいかないはずです。
が――
なかには――
気の弱い白拍子も――
(いたかもしれない)
と思います。
もちろん――
男装で人前に出て、歌や舞を披露するときは――
気の強そうな吟唱を聞かせ、気の強そうな所作をみせるのですが――
ひとたび舞台を降りて男装を解くと――
とたん気の弱い女性に戻る――
そんな白拍子が――
少なからず、いたのではないか、と――
僕は思うのです。
もちろん――
そういう白拍子は――
決して――
歴史に名を残すことはなかったでしょうが――
……
……
――白拍子
という言葉から――
僕が勝手に思い浮かべる女性像は――
そんな女性――
歴史に名を残すなど、決してありえなかったに違いない女性――
例えば、天下随一の武将にいいよったりすることがなく――
逆に、いいよられてしまったら、身をすくめて、ひたすら低頭をし、関心が逸れるのを待つような――
そういう女性です。