マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

書くことと扱うこととは別もの

 昨今の幼児教育では――
 できるだけ早い時期から、記号や数値を扱わせるほうがよい――
 という考え方になっているようです。

 そのように僕も感じておりますが――

 でも、
(ただ文字や数字を紙に書かせるだけでは、意味がないよな)
 とも感じております。

 たしかに――
 文字は記号の一種であり、数字は数値の具象ではありますが――

 文字や数字を書くことと――
 記号や数値を扱うこととは――
 まったく別物です。

 例えば、

   の

 という文字について――
 それを紙の上に美しく「の」と記すことと――
 その文字で、ときに、

   「野原」の「野」

 を示したり、

   「それ、ママの」の「の」

 を示したりすることとは別ものです。

 あるいは、

   8

 という数字について――
 それを紙の上に美しく「8」と記すことと――
 その数字で、

   ●●●

 を示したりすることなく、

   ●●●●●
   ●●●

 を示したりすることとは別ものです。

 にもかかわらず――

 昨今の幼児教育には――
 例えば3歳児に「の」や「8」を美しく書くように求める風潮が――
 あるように思えてなりません。

 そういうことではないはずです。