10代や20代の若い人たちのうち――
生きる苦しみをいま実際に感じているような人たちに向かって、
――あなたが苦しいのは、社会がおかしいからだ。
というと――
けっこうな共感が得られるそうですが――
……
……
(それで、いいのかな)
と思います。
……
……
仮に、
――社会がおかしいからだ。
が真実であったとして――
そのおかしさは個人の力では直しようがありませんよね。
ですから、
――あなたが苦しいのは、社会がおかしいからだ。
といわれたところで――
有効な対策は、ほとんど何も打てないわけです。
ということは――
つまり、
――あなたが苦しいのは、社会がおかしいからだ。
といわれて共感を示してしまう人は――
有効な対策を打とうとしていない人である可能性が高い――
といえます。
……
……
そうではなくて、
――あなたが苦しいのは、おかしな社会に巧く合わせていないからだ。
というのがよいでしょう。
社会は、おかしかろうが、おかしくなかろうが、そこに厳然と存在します。
個人は、その社会に、ただ適応して生きていくしかありません。
その適応の仕方が間違っていれば――
人は、とてつもない苦しさを味わうのは確かですが――
かといって、
――あなたが苦しいのは、社会がおかしいからだ。
というだけは――
責任の一端が「あなた」自身にもあることを全く伝えていないので――
いわれたほうは――
大いに誤解をする余地が残されます。
最悪の場合――
この言葉に強く共感した人が、
――おかしいのは社会であって、オレじゃない!
と叫んで大量殺人を企てる――
などということになりかねない――
もちろん――
そういう人は、きわめて稀ですが――
皆無ではありません。