マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

わかっているのに「わかっていない」と

 相手が自分に何を求めているかが、よくわからない――
 ということと――

 相手が自分に何を求めているかは、よくわかるけれども――
 その求めには応じられないことを伝えられない――
 ということとは――

 まったく次元の異なる問題です。

 例えば、

 ――あなたのことが異性として気になってしまう。

 というようなことをいわれて――
 その真意が、よくわからない――
 ということと――

 その真意は、よくわかるけれども、

 ――申し訳ないが、あなたと交際する気にはなれない。

 ということを伝えれない――
 ということとは――

 まったく次元の異なる話――
 ということです。

 ところが――

 ……

 ……

 これら2つの場合の対応が――

 うっかりすると――
 まったく同じになりかねないから――
 恐ろしいのですね。

 何を求められているかが、わからなければ――
 はぐらかしたり、誤魔化したりするだけですが――

 何を求められているかは、わかっていても――
 その求めに応じられないことを伝えられなければ――
 やはり――
 はぐらかしたり、誤魔化したりするだけなのです。

 これでは――
 せっかく自分への求めに敏感になれるセンスがあったとしても、

 ――宝の持ちぐされ

 ということになります。

 わかっているのに「わかっていない」とみなされるのですから――

 ……

 ……

 自分への求めに応じられないことを――
 いかに巧く伝えるかは――

 自分への求めに確実に気づくことと同じ程度に――
 あるいは、それ以上に――

 大切なことである――
 といえます。