恋には、
――する恋
と、
――される恋
とがあります。
「する恋」とは――
自分が誰かに恋愛感情を抱くことです。
「される恋」とは――
誰かが自分に恋愛感情を抱くことです。
一般に――
「恋」といえば、もっぱら“する恋”のことばかりが取り沙汰されますが――
“される恋”も、それなりに切実です。
思いがけない人に恋愛感情を抱かれ、すっかり戸惑ってしまった経験の一つや二つは――
誰もが、お持ちでしょう。
……
……
僕は――
恋のことを深く学ぼうと思ったら、
――まずは、“される恋”から学び始めるのがよい。
と考えています。
“する恋”では、自分が恋愛感情を抱く当事者になっていますから――
すべての状況判断が困難で不正確になりがちです。
恋愛感情は――
知覚や思考をゆがめますので――
……
……
が――
“される恋”では、自分は恋愛感情を抱く当事者ではありませんので――
状況判断は、そこまで困難ではありません。
恋に関する最低限の予備知識――例えば、「恋は脳を含む体の反応である」との知見――などが、ありさえすれば――
けっこう正確な状況判断ができるものです。