マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

恋の本質が隠れているところ

 恋愛は、

 ――いつ誰と恋に落ちるかを人は自由に選べる。

 と思っている限り――
 些細な問題です。

 いつ何処で食事をするかと同じくらいに――
 些細な問題です。

 もちろん――
 その“些細な問題”を――
 例えば、

 ――美食

 として大きく取り上げることはできますが――

 そんなふうに取り上げたところで――
 根本的には“些細な問題”であることに変わりはなく――

 ことは些事の多彩な趣向ないし豊穣な嗜好の局面に入っているにすぎません。

 僕が恋愛の問題を大きく取り上げるのは――
 恋愛における“美食”のようなことを追究するためではありません。

 恋愛は――
 例えば、食事などとは異質の、かなり厄介な問題だと思っているから――
 大きく取り上げるのです。

 恋愛の最も特徴的な難点は、

 ――いつ誰と恋に落ちるかを人は自由には選べない。

 という事実によって――
 端的に示せます。

 恋は、脳を含む体の反応です。

 人の意識の制御の及ばぬところで生じる感情――心身にみなぎる抑えがたい衝動――
 それが、

 ――恋

 です。

 ……

 ……

 ――なんで、あたし、あんなヤツを好きになっちゃったんだろう?

 という戸惑い――
 あるいは、

 ――オレがあいつを「好きだ」と思っているこの事実が許せない。

 という憤り――

 そういう激しい思いにこそ――
 恋の本質は隠れています。