――恋愛は部活や受験の邪魔をする。
という考え方は――
中学生や高校生、あるいは、それら指導者らの間で――
今も根強く残っています。
曰く、
――恋愛にかまけていては、練習がおろそかになる。
とか、
――恋愛のことが気になって、勉強に集中しなくなる。
とか――
……
……
たしかに――
中学生や高校生が、ひとたび恋愛感情を抱いたら――
部活や受験での成績に一定の影響が出ることは確実でしょう。
人は、10代のうちは、恋愛という営みに十分には慣れませんので――
自分や相手の感情に振り回され、細かな対人トラブルが頻発し――
その結果、部活の練習や受験の勉強に支障が出ることは――
大いにありえます。
恋愛が部活や受験に及ぼす負の影響は――
見過ごすことはできません。
が――
影響は、必ずしも負の影響ばかりではありません。
正の影響もありうる――
もし、恋愛の相手との間に健全な関係が築ければ――
その関係を安定的に保つことで――
かえって部活の練習や受験の勉強に励みやすくなる可能性は、あります。
よって――
昨今では、
――恋愛は、部活や受験のためにも、大いに経験したらよい。
と考える指導者らも、少数ながら、出てきているようです。
結構なことだと思います。
……
……
この問題で――
何より忘れてはならないことは――
中学生や高校生にとって――
部活や受験から学べることと恋愛から学べることと、より大切なのは、どちらか――
ということです。
もちろん――
部活も受験も恋愛も、どれも相応に大切なのですが――
僕は――
成人後の長い人生を考えたら、
(部活や受験よりも恋愛から学べることのほうが、より大切ではないか)
と――
あえて主張したいと思うのです。
社会人になって――
どんな恋愛を楽しみ――
どんな結婚相手と出逢い――
どんな家庭を築いていけばよいのか――
そして――
その家庭を――例えば、不倫などで――不用意に壊さないようにするには――
どうしたらよいのか――
そうした難事への理解や洞察は――
10代の多感な時期に、少しでも多くの恋愛を経験しているかどうかで――
大いに違ってきます。
今年7月30日の『道草日記』で触れた“公認交際の制度”の空想は――
現代の中学生や高校生にとって――
部活や受験から学ぶことに比べたら、恋愛から学ぶことは格段に少ないように感じられる――
という懸念が生んだものです。