マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

「マジか! やべえ。オレ、あした死ぬわ」

 駅のホームで電車を待っていると――

 背後から――

 男子高校生たちの話し声が聞こえてきました。

「今にも降ってきそ~」

「あした、雨、降る?」

「降るって予報だったよ」

「マジか! やべえ。オレ、あした死ぬわ」

 ……

 ……

 いや、死にはしないだろ、まだ若いんだし……などと――
 僕は思ったのですが……(笑

 どうやら――
 傘を学校に忘れてきてしまったために――
 あすの朝は、ずぶ濡れになるのを覚悟で学校に行かないといけない――
 ということが、いいたかったようです。

 ……

 ……

 よく使いますよね――
「ミスする」とか「嫌な目に遭う」とかいった意味で、「死ぬ」とか「死んだ」とかいう言い方を――
 とくに男子中学生や男子高校生たちは……。

 70年代生まれの僕らも、使っていた記憶があります――
 まだ中学生や高校生だった頃に――

 今から25年くらい前の話です。

 ……

 ……

 今から50年くらい前の男子中学生や男子高校生たちも、使っていたのでしょうかね。

 あるいは、100年くらい前の男子中学生や男子高校生たちも……?

 ……

 ……

 ちょっと、それは考えにくいように思いますが――

 実際――
 どうなんでしょ?

 ……

 ……

 そもそも――
 なんで「死ぬ」とか「死んだ」なんでしょうかね。

 ちょっと穏やかじゃないですよね(笑

 ……

 ……

 ひょっとすると――

 ゲームの影響でしょうか。

「ゲーム」というのは――
 いわゆる70年代に登場した“インベーダーゲーム”を皮きりとする電子媒体ゲームのことです。

 そういうゲームでは――
「ミスする」や「嫌な目に遭う」は、プレイヤーの操作するキャラクターが「死ぬ」だったり「死んだ」だったりを意味しています。

 電子媒体ゲームが一般的になったのは――
 ちょうど僕らが小学生に上がるか上がらないかの頃です。