マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

恋がわからなくなる理由

 恋は――
 わかりづらいのですよね。

 少なくとも――
 ある年齢までは、絶望的にわかりづらい――

 わかるようで、わからない――

 例えば、

 ――愛とは何が違うのか。

 が、わからない――

 ……

 ……

 もちろん――
 それなりに人生経験を積めば、

 ――ああ。これが恋か。

 と――
 ずいぶん、わかるようになるのですが――

 そうなるまでが――
 けっこう大変であったりします。

 ……

 ……

 この“恋のわかりづらさ”は、

  恋 ≒ 生殖欲求

 の図式を取り入れれば――
 比較的、容易に説明をすることができます。

 どういうことか――

 ……

 ……

 恋がわからない最大の理由は、

 ――人は、かなり若いうちから――子どものうちから――恋に落ちうる。

 という経験則に求めることができます。

 はっきりいえば――
 恋がわかりづらいのは、

 ――人は、生殖欲求を、生殖を実際に試みうる前から――すなわち、生殖欲求を満たすことの意味を理解し、実感しうる前から――何となく自覚しうるから――

 です。

 そんな欲求は――
 絶望的にわかりづらいはずです。

 例えば、

 ――ものを食べたことがないのに、食欲がわかるか。

 というのと同じです。

 ……

 ……

 わからないでしょう。

 わからなくて当然だと思います。

 ……

 ……

 こうした摩訶不思議な体験を――

 人は――
 なぜか、

  恋 ≒ 生殖欲求

 については――
 ほぼ必発で体験するのです。

 いわゆる、

 ――初恋

 を――
 生殖欲求の意味を理解するまで経験しない人など――
 めったにいないでしょう。

 それゆえに――

 人は、恋がわからなくなる――

 生殖欲求の意味を理解する前に、生殖欲求を自覚してしまう――
 そんな摩訶不思議な体験を引きずるがゆえに――

 人は――
 恋がわからなくなるのです。