マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

政治家の生業は討論といわれる理由

 討論を一進一退とするには――
 討論の対立軸に二律背反をもちこむだけではなくて――

 (A)(B)双方の主張のしやすさ・しにくさを拮抗させる必要がある――

 ということを――
 きのうの『道草日記』で述べました。

 このことを説明するために――
 わざわざ、
 
  (A) 朝食はパンがよい
  (B) 朝食はパンがよいのではない

 の討論を例示し――
 これに修正をかけたわけですが――

 ……

 ……

 そんな意図的で不自然な修正をかけなくても――
 世の中は、主張のしやすさ・しにくさの拮抗する討論で溢れています。

 例えば――
 政治の世界で目につく討論は、

  (A) ある政策を実行する
  (B) ある政策を実行しない

 の討論です。

 ここでいう「ある政策」とは――
 ふつうは、政府や政党が、難しい問題や課題を世の中に見出し――
 それらをどうにか解決するべく、練り上げた対応策です。

 少なくとも練り上げた当の人々にとっては、

 ――ギリギリのところ

 を狙った対応策に違いありません。

 よって、

  (A) ある政策を実行する
  (B) ある政策を実行しない

 の討論では――
 (A)(B)双方の主張のしやすさ・しにくさは、かなり拮抗したものとなっています。

 この拮抗は――
 政府や政党の担当者が、世の中を少しでも良くしようと思って対応策を練り上げる結果――つまり、非意図的で自然な修正を経て――
 もたらされるものです。

 ――政治家の生業(なりわい)は討論である。

 といわれるのは――
 政治の世界には、主張のしやすさ・しにくさの拮抗した討論が、いくらでも生み出されうる素地があるからです。