マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

Eroticism (エロティシズム)

 エロティシズムというのは――
 少なくとも僕にとっては――
 かなり、ややこしい概念です。

 ……

 ……

 ―― eroticism (エロティシズム)

 を英英辞典で調べてみますと――
 例えば、

 ―― the quality of being erotic (エロティックであるという性質)

 などと説明されています。

 では、「erotic (エロティック)」はどうなっているのかと思って――
 やはり、英英辞典で調べてみますと――
 例えば、

 ―― dealing with or producing sevual love and desire (性的な愛情や欲望を生み出したり扱ったりしている)

 などと説明されています。

 おわかりのように――

 少なくとも表向きは――
 英語の「eroticism」は、日本語の「猥褻(わいせつ)」よりは、むしろ「色気」に近いのですね。

 他の言語――
 例えば、仏語や独語でどうなっているのかは――
 僕には、よくわかりませんが――

 語族が同じなので――
 英語での様子と、そんなには違わないでしょう。

 よって――
 たぶん、「エロティシズム」とは、

 ――色気

 のことなのです。

 ただし――
 ここで日本文化圏との間に無視できない齟齬が生じています。

 日本語の「色気」は――
 4日前の『道草日記』で述べたように、

 ――人の生殖欲求を刺激する感覚ないしは、その感覚の原因となる情報

 です。

 ところが――

 欧米文化圏では――たぶん、中東文化圏でも同様と思うのですが――
 「人の生殖欲求を刺激する」こと自体が――
 すでに前提として、

 ――背徳

 らしいのですよね。

(人だって生き物なんだから、生殖欲求が刺激されちゃうものは、しょうがないじゃないか)
 と――
 たぶん、日本人の多くは思うのですが――

 欧米人は違う――
 そうは思わない――

 ――生殖欲求は、基本的には、刺激しても、刺激されてもダメ

 と思っている――

 ……

 ……

 ですから――

 「エロティシズム」は、一見「色気」なのだけれども――
 よく考えてみると、

 ――猥褻

 である――

 つまり、

  エロティシズム
  = 猥褻
  = 色気 × 背徳(生殖欲求)

 である、と――
 僕は思います。

 ……

 ……

 裏を返すと――

 欧米文化圏や中東文化圏と日本文化圏とでは、

  背徳(生殖欲求)

 の項の中身が――

(たぶん、呆れるくらいに違う)
 ということです。