マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

何がサディストの生殖欲求を刺激しているのか

 いわゆる、


 は、

 ――猥褻の一種

 ではあるけれども――
 その点にサディズムの本質はなく――
 むしろ、

 ――加虐性欲

 こそがサディズムの本態である――
 ということを――

 きのうの『道草日記』で述べました。

 ここでいう、

 ――加虐性欲

 とは、

 ――加虐嗜好が直に生殖欲求を醸し出すこと

 です。

 ……

 ……

 以上のことを踏まえると――
 1つの大きな疑問にぶつかります。

 すなわち、

 ――何がサディストの生殖欲求を刺激しているのか。

 という疑問です。

 素直に考えれば――
 サディストは、誰かに虐を加えている自身の言動それ自体によって生殖欲求が刺激されていることになります。

 が――
 これが、わかりにくいのですね。

 今――
 試みに、

 ――装飾食欲

 というのを考えてみましょう。

 ――装飾嗜好が直に摂食欲求を醸し出すこと

 です。

 もう少し噛み砕いていえば――
 食べ物を飾りたてることで食欲がかきたてられることをいいます。

 このとき――
 装飾食欲の持ち主は、食べ物を飾りたてる自身の行動それ自体によって摂食欲求が刺激されているといってよいでしょうか。

 ちょっと不自然ですよね。

 飾り立てられた食べ物をみて摂食欲求が刺激されていると考えるほうが自然です。

 これと同じで――
 サディスト――つまり、加虐性欲の持ち主――も、誰かに虐を加えている自身の言動それ自体によって生殖欲求が刺激されているというよりは――
 虐を被っている誰かの反応をみて生殖欲求が刺激されていると考えるほうが自然です。

 ここまで考えが及ぶと――
 さらに大きな疑問にぶつかります。

 すなわち、

 ――サディズムの本態は加虐性欲といわれるが、実は被虐性欲ではないのか。

 という疑問です。

 ……

 ……

 ――被虐性欲

 は――
 日本語では俗に、


 といわれていますね。

 サディズムマゾヒズムの考え方が提唱されたのは――
 19世紀のヨーロッパです。

 その頃から、

 ――マゾヒズムサディズムとは根源的には区別し難い。

 との考えが根強いのは――
 そうした理屈によります。