マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

人間を2つに分ける(11)

 日本語では、

  人間 = 身
      = 心 + 体

 である、と――

 きのうの『道草日記』で述べました。

 ……

 ……

 ――心身問題

 という問題があります。

 哲学の伝統的な問題で――
 心と体との関係性を論じます。

 英語では、

 ――Mind-body problem

 と表記します。

 英語の「body」は、どちらかというと、「殻」や「骸」に近い言葉です。

 よって――
 厳密に訳せば、

 ――心体問題

 となるはずですが――
 なぜか、そうは訳されず、

 ――心身問題

 となりました。

 ……

 ……

 もちろん――
 日本語の「身」は、常に「人間」と同義ではなく――
 例えば、「心身ともに」といった表現があるように――
 日本語の「身」は、場合によっては、「殻」や「骸」の意味でも使われるから――
 というのが――
 まずまず穏当な解釈ですが――

 少々過激な解釈も可能です。

 すなわち――

 ……

 ……

 ――Mind-body problem

 を、

 ――心身問題

 と最初に訳した日本人は、

 ――この問題は、心と体とを互いに対立する概念と捉えているうちは、決して解決しない。

 と考えていたのではないか、と――

 つまり、

 ――心は身に内包される概念と捉えなければ、決して解決しないのではないか。

 と考えていたのではないか、と――

 ……

 ……

 ことの真偽を――
 僕は知りません。

 が――
 たしかに、

 ――心体問題

 では――
 日本語の感覚として、何となく、

 ――解決には、ほど遠い。

 という印象を受けるのは――
 少なくとも僕にとっては、事実です。