日本語では、
人間 = 身
= 心 + 体
である、と――
きのうの『道草日記』で述べました。
……
……
――心身問題
という問題があります。
哲学の伝統的な問題で――
心と体との関係性を論じます。
英語では、
――Mind-body problem
と表記します。
英語の「body」は、どちらかというと、「殻」や「骸」に近い言葉です。
よって――
厳密に訳せば、
――心体問題
となるはずですが――
なぜか、そうは訳されず、
――心身問題
となりました。
……
……
もちろん――
日本語の「身」は、常に「人間」と同義ではなく――
例えば、「心身ともに」といった表現があるように――
日本語の「身」は、場合によっては、「殻」や「骸」の意味でも使われるから――
というのが――
まずまず穏当な解釈ですが――
少々過激な解釈も可能です。
すなわち――
……
……
――Mind-body problem
を、
――心身問題
と最初に訳した日本人は、
――この問題は、心と体とを互いに対立する概念と捉えているうちは、決して解決しない。
と考えていたのではないか、と――
つまり、
――心は身に内包される概念と捉えなければ、決して解決しないのではないか。
と考えていたのではないか、と――
……
……
ことの真偽を――
僕は知りません。
が――
たしかに、
――心体問題
では――
日本語の感覚として、何となく、
――解決には、ほど遠い。
という印象を受けるのは――
少なくとも僕にとっては、事実です。