少し体調を崩しています。
どうも――
自分の体を思い通りに動かせません。
とはいえ――
朝から晩まで寝床で休んでいるわけにもいかないので――
少々の無理をするわけですが――
……
……
こういう無理が――
いつか、
――命とり
になる日がくることを――
近年――
痛切に感じております。
……
……
17世紀から18世紀のロシアを統べた皇帝ピョートル1世は――
身長2mを超す大男で――
外科医・歯科医として、自ら家臣たちの治療に介入しようとしたくらいに、当時の医学知識を備えた為政者でした。
そのピョートル1世の死因は――
重い膀胱炎に端を発する細菌感染症であったと伝えられます。
五十有余の享年でした。
冬の海で遭難した船の救助に自ら乗り出し――
冷たい水に浸かったことが契機であったようです。
当時の細菌感染症の知見は限られたものであったとは思いますが――
ひょっとすると――
排尿時の違和感が消えないなか、わざわざ冷たい海へ入っていったのかもしれません。
それだけ自分の体力の自信があったのでしょう。
少なくとも――
これくらいの無理では、まさか命を落とすこともあるまい――
と考えたのだろうと思います。
そうかと思うと――
例えば――
紀元前後のローマを統べた皇帝アウグストゥスは――
ちょっとでも体調が悪いと、すぐに休養をしたと伝えられます。
アウグストゥスは慎重170cmほどで、美男子ではあったそうですが、とくに体力に優れていたわけではなく――
ほとんど無理をしなかったのでしょう。
その結果――
75年という当時としては稀な長寿を全うしました。
アウグストゥスからピョートル1世まで――
約1700年――
この間――
医学や医療の技術は相応に進歩はしていたはずですが――
寿命の長短を決めたのは――
どちらも、思いのほか単純な経験則のようです。
21世紀の今も――
その状況は、たぶん大まかには変わっていません。